「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉を、聞いたことはありますか。
健康や働き方、暮らしについて語られるときに使われますが、「結局、どういう意味なの?」と感じている方もいるかもしれません。
ウェルビーイングとは、心や体、人とのつながり、暮らしの環境など、さまざまな面から捉えた「よい状態」を表す言葉です。
単に病気がないことや、毎日楽しく過ごすことだけを指すものではありません。
今回は、ウェルビーイングの意味や言葉の歴史、幸せとの関係を、国際機関の考え方も交えながら分かりやすく解説します。そして、日々の暮らしの中で、自分に合った心地よさを見つけるヒントもご紹介します。

ウェルビーイングとは?意味を分かりやすく解説
ウェルビーイング(Well-being)とは、心身の健康だけでなく、生活環境や人間関係、暮らしの満足度なども含めた、総合的に良好な状態を表す言葉です。
よく「幸福」や「幸せ」と訳されますが、瞬間的な喜びや楽しさだけを意味するものではありません。
例えば、体調がよくても、人間関係に悩みを抱えていたら、心地よく暮らせているとは感じにくいかもしれません。
反対に、仕事で忙しい時期でも、家族や友人とのつながりに支えられ、自分の生活に充実感を持てることもあるでしょう。
このように、一つの側面だけでは測れないのが、ウェルビーイングの特徴です。
ウェルビーイングは、いつからある言葉?
新しい言葉のように感じられるかもしれませんが、ウェルビーイングには長い歴史があります。
英語辞典のMerriam-Websterでは、「well-being」の確認されている最も古い使用例を1561年としています。今から450年以上も前には、すでに使われていた言葉なのです。
ただし、これは言葉が使われていた記録であり、1561年に誰かが作ったと分かっているわけではありません。誰が、何のために最初に作ったのかまでは、この記録からは分かりません。
また、当時の言葉の使われ方と、現在の研究や政策で用いられるウェルビーイングの考え方が、すべて同じだったという意味でもありません。
言葉そのものの歴史と、健康や暮らしを考えるために使われてきた歩み。その二つを分けて見てみると、理解しやすくなります。
出典:Merriam-Webster「well-being」
WHOが示す健康とウェルビーイングの関係
ウェルビーイングと健康の関係を知る上で、大切な節目の一つが世界保健機関(WHO)の憲章です。
1946年に国際保健会議で採択され、1948年に発効したこの憲章には、健康を単に病気や虚弱がないことではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態とする定義が記されています。
この「良好な状態」に当たる部分で使われているのが、「well-being」という言葉です。
WHOが、この言葉を新しく作ったわけではありません。すでにあった言葉を、体だけでなく、心や社会的な側面まで含めて健康を捉える定義の中で用いているのです。
憲章は、到達できる最高水準の健康を享受することを、すべての人の基本的な権利の一つとしています。
病気をなくすことだけでなく、人がよりよい状態で生きられることにも目を向ける。そこに、ウェルビーイングと健康を結ぶ、大切な視点があります。
ただし、これはWHOによる「健康」の定義であり、ウェルビーイングという概念全体を一つの文章で定義したものではありません。
ウェルビーイングを構成するもの
経済協力開発機構(OECD)は、人々のウェルビーイングを考える際に、収入や住まい、仕事、健康、教育、人とのつながり、環境、安全、生活満足度など、さまざまな側面に注目しています。
つまり、ウェルビーイングは「気持ちの持ち方」だけの問題ではありません。
安心して暮らせる環境や、経済的な安定、社会とのつながりも関係しています。
自分自身の努力だけで、すべてを整えられるものではないという視点も大切です。

ウェルビーイングと幸せは何が違う?
ウェルビーイングと幸せは、意味が重なる言葉です。はっきりと線を引いて分けられるわけではありません。
私たちが日常で使う「幸せ」には、おいしいものを食べたときの喜びや、大切な人と過ごす時間の楽しさが含まれます。
それだけでなく、「今の暮らしに満足している」という気持ちや、人生を通じた充実感を表すこともあるでしょう。
ウェルビーイングという言葉は、そうした気持ちに加えて、健康や人間関係、収入や住まいなど、暮らしを支える条件にも目を向けるときに役立ちます。
OECDの2025年版ガイドラインでは、主観的ウェルビーイング、つまり本人が自分の人生をどう感じ、捉えているかについて、人生への評価、感情、人生の意味や目的などの側面を区別しています。
嬉しいことがあった日も、思うようにいかなかった日もある。
けれど、その日の気分だけで、暮らしのすべてが決まるわけではありません。
落ち込む日があっても、困ったときに頼れる人がいること。自分なりに大切にしたいものがあること。
そんなところにも、ウェルビーイングを考えるヒントがあるのではないでしょうか。
出典:OECD「Guidelines on Measuring Subjective Well-being(2025 Update)」
ウェルビーイングを暮らしに取り入れるには?
「ウェルビーイングを高める」と聞くと、何か新しい習慣を始めたり、自分を変えたりする必要があると感じるかもしれません。
でも、特別なことから始めなくても大丈夫です。
まずは、今の暮らしを少し振り返るところから始めてみませんか。
ここでは、自分に合った心地よさを考えるための、四つのヒントをご紹介します。
1.自分が心地よいと感じる時間を見つける
・朝、窓を開けて新鮮な空気を感じる。
・お気に入りのお茶をゆっくり飲む。
・自然の中を散歩する。
何を心地よいと感じるかは、人によって違います。
誰かにとっての理想的な暮らしが、自分にも合っているとは限りません。
「何をしたら幸せになれるだろう?」と考える前に、「最近、どんなときに心地よいと感じただろう?」と振り返ってみるのも一つの方法です。

2.心と体の声に耳を傾ける
忙しい毎日では、自分の疲れや気持ちを後回しにしてしまうことがあります。
今日は少し疲れている。
一人で静かに過ごしたい。
誰かと話したい。
そんな自分の状態に気づくことも、大切な時間です。
無理に前向きになる必要はありません。
休息が必要なときは休む。困ったときは周囲に助けを求める。
自分の状態に合わせて選択することを、暮らしの中で意識してみましょう。
3.人とのつながりを大切にする
ウェルビーイングには、人とのつながりも関係しています。
家族や友人と話す時間、地域での交流、誰かと気持ちを分かち合うこと。
大勢の人と関わる必要はありません。
自分にとって安心できるつながりがあるかどうかも、大切な視点です。
もちろん、人との距離を置いて一人の時間を楽しむことが、心地よい場合もあるでしょう。
大切なのは、周囲に合わせることではなく、自分に合った関係を考えることです。

4.暮らしの環境を見直してみる
毎日を過ごす空間が、自分にとって心地よいかどうか。
光や音、香り、部屋の使いやすさなど、身近なところにも目を向けてみましょう。
例えば、机の上を少し片づける。照明を好みの明るさにする。窓から見える季節の変化に目を向ける。
一つひとつは小さなことかもしれません。
それだけですべての悩みが解決するわけではありませんが、自分にとって過ごしやすい空間を考えるきっかけにはなります。
できそうなことがあれば、一つ試してみるくらいの気持ちで始めてみませんか。
ウェルビーイングは、いつも幸せでいることではない
ここまで、ウェルビーイングの意味と、暮らしに取り入れるヒントをご紹介しました。
ただ、一つ覚えておきたいことがあります。
それは、ウェルビーイングを意識することが、いつも元気で、前向きで、幸せでいなければならないという意味ではないことです。
人生には、思いどおりにいかない日もあります。
仕事がうまくいかない日もあれば、人間関係に悩むこともあるでしょう。
そんなときにまで、無理に幸せを探さなくてもよいのではないでしょうか。
今の自分に必要なのは何だろう。
少し休むことかもしれないし、誰かと話すことかもしれません。
場合によっては、個人の工夫だけでは解決できない環境や社会の問題に目を向けることも必要です。
ウェルビーイングは、誰かが決めた理想の状態に自分を当てはめるためのものではありません。
自分の暮らしを、さまざまな角度から見つめるための考え方なのです。
「幸せは、ある。」日々の暮らしの中で見つけるもの
HAPPIESTLABでは、「Support Your Happiness」という想いを大切にしています。
新しい目標をかなえる喜びもあれば、いつもの暮らしの中で気づく心地よさもあります。
・朝の光。
・大切な人との何気ない会話。
・自然に触れる時間。
・今日も自分らしく過ごせたという、小さな充実感。
私たちは、科学的な視点や自然の知恵、人の想いを通して、一人ひとりが自分に合った心地よさを見つけるお手伝いをしたいと考えています。
まずは、自分に問いかけてみませんか。
「私にとって、心地よい暮らしって何だろう?」
その問いから、自分らしい幸せを見つける時間が始まるかもしれません。
参考資料
- Merriam-Webster「well-being」
- 世界保健機関(WHO)憲章
- OECD「How's Life?」
- OECD『Built Environment through a Well-being Lens』「Viewing the built environment through a well-being lens: What it means for definitions and measurement」
- OECD「Guidelines on Measuring Subjective Well-being(2025 Update)」
執筆:ハピラボ編集部
HAPPIESTLABの「Support Your Happiness」を軸に、心地よい暮らしのヒントを届ける編集部です。暮らしの疑問や困りごとに向き合い、科学的な視点や自然の知恵、専門家の声を大切にしながら、一人ひとりが自分に合ったものや方法を見つけるきっかけをお届けします。